【陸自】実弾と空包を間違え?元自が説明!状況下の訓練で実弾交付はあり得ませんよ!

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2016年5月24日、陸上自衛隊で「実弾誤射事案」が発生したと報じられました。

十勝管内鹿追町の陸上自衛隊然別演習場で23日、北部方面後方支援隊(恵庭)が空包を撃ち合う想定の訓練中に実弾が発射され、隊員2人が軽傷を負った事故で、隊員には全て実弾が手渡されていた可能性の高いことが24日、北部方面総監部(札幌)への取材で分かった。実弾を撃った隊員は複数おり、計数十発が発射されたことも判明した。総監部は実弾が渡された経緯などを調べている。

引用:北海道新聞

一言でいうと、今回起きた事故は「自衛隊ではありえない訓練状況」です。

どういった経緯で事故が発生したのかは陸上幕僚幹部と北部方面総監部で調査するとのこと。

なぜ「実弾」と「空包」を間違えたのか?

気になるところを調べてみました。

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「実弾」と「空包」の違い

【小銃ってどんなもの?】

今回、演習場内で実弾が発射された武器は「小火器」に分類される「89式5.56㎜小銃」で、いわゆる「ライフル銃」と言われる小銃です。

簡単に説明すると、

・1989年に制式された日本製の小銃

・レバーの切り替えにより単発、連発、3連発という射ち方が可能

・使用する弾薬のサイズは5.56㎜で「実弾」と「空包」が使用可能

こんな感じの銃です。

米軍の銃に比べると部品は細かく、数もケタ違いに多いため分解に手間がかかります。

部品が脱落すると訓練を中止して隊員全員で横一列になって探す光景がたまに見られます。(特に新隊員教育や陸曹教育隊)

そのため戦闘訓練や状況下訓練では、脱落しやすい部品に市販のブラックテープを巻いて「脱落防止」をしています。

【実弾と空包の違い】

「実弾」と「空包」の違いを簡単に言うと、引き金を引いたときに「弾丸が出るのが実弾」「音だけ出るのが空包」です。

「実弾」とは、薬きょうという火薬が詰まった部分の先に「弾丸」が着いていて、引き金を引くと薬きょうのお尻の部分が叩かれることで火薬に火が付き爆発することで「弾丸」が飛んでいきます。

「空包」は、薬きょうに火薬は詰まっていますが先っぽに「弾丸」が付いていないため、火薬が爆発しても弾は飛ばず「実弾」と同じ「音」だけ発します。

「空包」を使用する際は、銃口に「アタッチ」と呼ばれるガスを調整する器具を取り付けます。

今回、破損した部品で負傷したというのは、この「アタッチ」に「弾丸」が当たり破損した破片が当たったためだと考えられます。

 

「音しか出ない空包」なんかでより「エアガン」で訓練やった方が臨場感あるんじゃないの?と思うかもしれません。

しかし「空包」は「音しか出ない」わりには結構「危ない」しろものなんです。

「空包」は銃口から「弾丸」が出ない代わりに薬きょうの中のガスが噴出されます。

このガス噴出の威力がかなり強く、銃口の前に空き缶を置いておくと「穴が開く」ほどです。

ですから、「実弾」と同様に「ガンハンドリング」という銃の取り扱い方を意識しないといけないため、その点では訓練効果は十分にあります。

何より「エアガン」を使うと、それこそ「遊び感覚」の訓練になってしまい「銃の脅威」が身に付きません。

 

このように「空包」であっても危険がいっぱいなため「決まり事」があります。

「サバゲー」みたいに至近距離で「パンパン」することはできません。

「人に向けて射つ時は一定の距離をあけ、距離が取れない場合は銃口を上空または地面に向けて射たなければいけない」など制約があります。

また、演習場で使用する場合は周囲の環境により音を出していい時間帯も決められているため何かと「不便」に感じることも多いです。

「実弾」を使用する訓練とは?

今回の事案では演習場内で「実弾を用いた射ち合い」が発生しケガ人が出ました。

自衛隊の訓練で「実弾を用いた対人訓練」は行われません。

今回の事案には自衛官のほとんどが「???」と思っていることでしょう。

 

では「実弾」を使用する訓練とはどのようなものがあるのかと言うと「実弾射撃訓練」です。

これは「射撃の練度」を見るため、屋外射場または覆道(ドーム)射場で「的に対して射撃」をする訓練です。

この時に隊員は「実弾」を取り扱いますが、それは厳正な監視の下、必ず2人以上で弾薬を管理・点検しています。

また、銃口についても向ける方向が決められていて、不注意でそれ以外に向けるとそれこそ小一時間は「立ち直れないくらい」に激始動を受けます。

 

なぜか?・・・命にかかわるからです。

人のミスもあれば銃の異常もあり、いつ弾薬が発射される恐れがあるかわかりません。

万が一、誤射が発生した時でもケガや設備を損傷しないように銃口管理を徹底しているのです。

このように「実弾」を使用する訓練は「射撃訓練」以外はほぼあり得ません。

ましてや状況下訓練の射ち合いに使用されるなんてことは「前代未聞」です!

まとめ

今回の「事案」の発生した経緯を推測するとすれば、

・弾薬を管理している駐(分)屯地等で「空包」を配布する際、誤って「実弾」が混入。

・総合演習(状況下訓練や実射訓練が日替わりで設定される演習)の弾薬交付時に誤って交付。

このどちらかだと思われます。

これは完全に「人的ミス」です。

受領の際の点検が不十分だったという事が原因となります。

 

それよりも複数人の現役自衛官が、弾薬を込める際に「実弾」と「空包」の違いに気付かなかったというところが最大の驚きです。

79発もの実弾が発射されているのに、空包と思って引き続き射撃をしているなんてことは「武器を取り扱う自衛官」として考えられません!

「空包だろう」という思い込みや、訓練にマンネリ化して緊張感などが欠如した結果だと思います。

いずれにせよ、再度「襟を正して」臨んでもらいたいと思います。

 

<追記>

事故の経緯を調べていくと「弾薬の調達担当者による書類の転記ミスが原因」だそうです。

調達担当者というのは「①部隊の計画を担当した幹部」、4系と言われる「②兵站(弾薬)担当者」、駐屯地業務隊などの「③弾薬の管理担当者」のどれかということになります。

今回は計画の段階では空砲を使用予定だったことから、①が調達請求をあげる際に書き間違ったのか、転記ミスというところで②→③の時に書き間違ったかのどちらかのようです。

どちらにせよチェックする段階はいくらでもあったので、原因は部隊としての「士気の低さ」だと言えます。

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    • 通りすがり
    • 2016年 5月25日

    一つ気になる事
    見た目でも実弾か空包かは一目瞭然ですが、それ以上に「発砲音」です。
    いくら89式でも実弾は耳栓しなければ結構耳にきます。
    何発も撃っていて違和感を感じなかった事。
    空包なら耳栓無くても平気ですが、実弾というのが・・・・。

    • 2016年 5月26日

    89式小銃の部品数ってM16より少なくなかったっけ
    悪名高い64式小銃でも変なとこが分解するようになってるだけで部品数自体は同時期に開発された小銃と大差なかったり

    • 2016年 6月8日

    請求を間違おうが関係ない
    実際に訓練する自衛官が対人の訓練をすると分かっていながら弾倉に入った実弾を見て何とも思わないことが全ての問題点
    お役所仕事だから他のことに責任転嫁をしてお茶を濁すんだろうけど

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